Metal Hard, Punk Free!!

・BIRTH RITUAL - Kumagaya Demo 7" ¥800 (Tadpole)
札幌メタルパンク BIRTH RITUALの2010年にCDRで発表したデモが、UKのTadpole Recordsから限定300枚で7"EP化!!元々は埼玉/熊谷でのライブ会場販売用に制作されたモノで、そこにボーナスとして2006年録音の1曲を加えた3曲入りです。
これぞ昭和メタルコアと言った感じのメタルパンクがカッコいいバンドですが、このデモではいきなりBLACK SABBATH系スロウ・ドゥーム・ナンバーでスタート。しかしこれがただのドゥームメタル・チューンではありません。Vo.はやはりあの凶悪なリバーブ・ボイスで、まるでスウェーデンのSATURNALIA TEMPLEみたいな極悪イーヴィル・ドゥーム・デスパンクで最高です!!結成当初はドゥームメタル色の濃いサウンドだったとも聴いてますので、このスロウ・ドゥーム・ナンバーも他の曲と比べて浮いた印象などもなく、しっくりとなじんでいます。その後はVENOM直系ドライビング・メタルパンク・ナンバーも披露。メタルパンクという言葉に嫌悪感を抱くヘッドバンガーにもぜひ聴いてほしい、フトコロの深さを見せた意欲作デモ!!


・NEKROFILTH / SPEEDWOLF - Split 7" ¥900 (Doomentia)
お問い合わせの多かったSplitシングル、ようやく到着しました!!CRUCIFIED MORTALSでNUNSLAUGHTERもやってるメンバーによるNEKROFILTHと、日本ではBurrn!読者とパンク・キッズに大人気という不思議な現象が起きてるコロラドのロッキン・スピード・パンク SPEEDWOLFによるSplit EP。完全にHells Headbangersな組み合わせなのに、なぜかDoomentia Recordsからの限定500枚リリースです。
NEKROFILTHは何年か前にデモをくれて、それがなかなか良かったのでオーダーしたら、その後全く相手にしてくれなくなった、アメリカ人に多い意味不明ツンデレ外人。このSplit EPで久しぶりに聴きましたが、やっぱり悪くありません、このバンド。デスメタルとハードコアの80年代型クロスオーバーで、昨今のデスメタル・クラストなどとは異質です。SLAUGHTER, REPULSION, N.M.E.などの、あのジャリジャリで汚いサウンドでスラッシュ・リフを繰り出し、ハードコアなコンパクトさと疾走感で駆け抜ける、アグリー・ロウ・デスコア・パンク・スラッシュ!!FUNEROTやRazorback系のデスコア好きにもオススメだけど、ACCUSEDやADA-MAXなどのファンにはドツボじゃないでしょうか。
初期代表曲のオンパレードだった1stアルバムは、キャッチーさを強調した作風で、パンク・キッズに受けが良いのも非常に納得のいく、ここ最近のSPEEDWOLF。しかし1曲のみで勝負してきた今回のSplitは今までよりもアダルトな曲調で、小僧どもは物足りないでしょう。MOTORHEAD色を強めたこの新曲は、今後の彼らの展開を大いに期待させる出来栄えです。90年代MOTORHEADの最高傑作アルバム・タイトルの重量級鋼鉄ナンバー Sacrifice的な展開で王道のMOTORHEADフレーズを聴かせて、これは渋いぞ!!Sacrificeのあのブルータルなグルーヴはもちろんないけど、Danzigコブシは控えめでLemmy寄りのダーティーなシャウトにしたVo.も正解です。これでいい!これで行ってくれ!!
Split w/ HOOKERSの時のステッカーがたくさん出てきたので、今回のSplitとは関係ないですがオマケで付けときます。

・POISON MASK - Graveyard World 7" ¥900 (Putrid Filth)
またまたおかしなのが出てきました。フィンランド人とイタリア人の2人でやってるらしい、デスメタル・パンク!!Blood Harvest Records傘下の新レーベル Putrid Filth Records??これはどう考えても、盛岡のGOUKAや名古屋の無我のLP出してたPutrid Filth Conspiracyの事でしょう。日本のパンク業界関係者ならご存知の通り、P.F.C.レーベルのオーナーは、メロコアのSATANIC SUFERSやオールドスクール・ハードコア・パンクのINTENSITYなどで来日経験もあり、現在はデスメタル・レーベル Blood Harvest Recordsで活動を行う(バンド活動は現在はNECROVATIONのサポート・ギター程度のようです) Rodrigo氏。このバンドが彼のハードコア・パンク魂に再び火をつけたのか、Conspiracyを取り除いたPutrid Filthというレーベル名でのリリースです。限定300枚!!
デスメタル・パンクと言ってますが、これが完全なベッタベタD-Beatクラスト!!D-Takt辺りからリリースするのがピッタリなサウンドです。と思ったら、B面のナンバーでいきなり後期ANTISECT系ミドルテンポDISメタルパンクをやり始めて、この曲はカッコいい!!今後はこの路線だけでぜひ行って欲しいです。

・STUDFAUST - Half Human, Half Dynamite / 1980's Ladies 7" ¥900 (Soulseller)
ゴミみたいなお子様向けメタルパンク・バンドや、メタル・トレンドに便乗する業界関係者をあざ笑うかのような、本物のパンク・メタルヘッズがノルウェーで動き出した!!!ジャケからして極悪で激渋なオーラをガンガンに放ってるから、カート掲載前から店頭でけっこうな枚数売れちゃってます。レコードを手に取って裏ジャケ見ると、いかにも悪そうなメタルヘッズと、白髪交じりのオジサン2人が、ビール片手にガンベルトくわえてます。長髪の方は、OLD FUNERALのギターで、90年代後期にはENSLAVEDやGORGORTHメンバーとドランク・サタニック・アホ・スラッシュメタル DESEKRATORもやってたTore氏!!DESEKRATORはサイコーだったけど、当時売り切るのにホントに苦労した、当店では懐かしくも愛おしいバンドです。そしてGRAVE DESECRATORのTシャツ着てドラムを叩く、初老と言ってもおかしくないこの人、Varg Vikernesと並んで初期ブラックメタル・シーンに於いて重大な事件を起こした、あのBard "Faust" Eithun氏です!!!
革ジャンにガンベルトとウェスタン・ブーツ、ビール瓶にはMOTORHEADのラベルで、Faust氏のドラムのバックにはKISSのポスター。これらのアイテムがSTUDFAUSTのサウンドを的確に表しています。プレ・スラッシュな疾走感よりも、MOTORHEADのR&Rルーツに狙いを定めたブギー調のA面ナンバーは、ゴキゲンにキャッチーだけどワイルドさがやはり並みじゃありません。B面ナンバーはウルトラ・キャッチーなナンバーですが、筋金入りの鋼鉄ミュージシャンらしいアグレッシブな演奏のおかげで、KISSから北欧に受け継がれたスリージーなR&Rと言うより、初期TWISTED SISTER的な、骨太なワイルドさとポップな感覚の融合に近い気がします。
ノルウェー・ブラックメタル・シーンの中で最も高いミュージシャン・シップと壮絶なパワーを備えていたドラマーの一人だったFaust氏に対する印象を、例の事件やEMPEROR時代のイメージで留まってる人にとっては、このSTUDFAUSTのサウンドは驚きでしょう。Slayer MagazineではPOISON IDEAもお気に入りで挙げていたFaust氏と、素晴らしいロックンロールVo.を聴かせるTore氏の、2人の幅広い音楽性がうかがえる必聴大注目のデビュー作です!!

・MOONLESS - Calling All Demons LP ¥1800 / DIGIPACK CD ¥1600 (Doomentia)
デンマーク・パンク・ファンに人気のGORILLA ANGREBやDEATH TOKENメンバーらがやってるストーナー・ドゥームメタル・バンドの1stアルバム!!EL ZINEでもインタビューされてて、日本ではどちらかというとパンク・ファンの方に今は名前が浸透してるかも知れません。そこらへんのパンク人脈はここではあまり重要視する必要ないですから、最初はあまりこのバンドの事は気にしてなかったけど、デンマークで共演したCHURCH OF MISERYのTatsu氏がかなりオススメしていましたので、スルーするわけにはいきませんでした。そしてEL ZINEインタビューでCHURCH OF MISERYの大ファンであることを力説していた通り、これはチャーチ・ファン必聴の内容です。と言うか、まるでチャーチなナンバー満載!!
泥臭さとキレが同居したサバス・ルーツのリフワーク。スネアが埋もれがちだけどコシの強いグルーブがタイトさをカバーしてるリズム・セクション。そしてワイルドなボーカル。ちょっとカラッとした感じにして狂気を薄めたCHURCH OF MISERYみたいな感じで、かなり惹きこまれます。無理してぶっ飛んだアシッドな雰囲気出すより、ドゥームメタル・ルーツのハードロックに真剣にチャレンジしてるような姿勢に好感が持てます。チャーチ・ファンはぜひ1度体験してみてください!!

・TERRASET - Concrete Altar TAPE ¥700 (Taphephobia prod.)
当店イチ押しUSヴァージニア産ガレージ・パンクメタル SATAN'S SATYRSメンバーによるアナザー・ロウ・パンクメタル!!3曲入りのデビュー・デモです。ジャケが全くピンと来ないけど、サウンドはSATAN'S SATYRSファンならば確実に楽しめるフィルシー・スラッジ・パンクメタル!!SATAN'S SATYRS同様、こちらも今後注目です!!
ELECTRIC WIZARD系のサバス風味とBLACK FLAGっぽいギターワークをミックスしたガレージ・メタル・サウンドで、VENOMっぽい曲調を演奏した結果、まるでN.M.E.のようなイーヴィル・パンクメタルへと化学反応したSATAN'S SATYRSのスタイルから、VENOM要素を取り除くと、このTERRASETになるのではないでしょうか。なのでSATAN'S SATYRSのデモ時代のサウンドにかなり近いと思います。ELECTRIC WIZARDを通したアシッドな感覚ではない、BLACK FLAG的ダイナミズムの先に見据えたBLACK SABBATH要素は、泥臭さは無いけどEYEHATEGOD系のスラッジ風味も混入して、アメリカン・バンド特有の狂気を生み出しています。個人的には、THIN LIZZY系ツインギター・ハードロックを大胆に導入する以前の、最初期BLOULDERの姿もダブってきて、今後の展開に非常に期待させてくれます!!

・TORCH OF DECAYING LOG - Anthology CD ¥1000 (Taphephobia prod.)
ニュージーランドのブラック・ノイズコア・パンクの、過去にアナログ盤で発表した音源2種をまとめたCD。ブラックメタル・ノイズ・パンクはBOYではBONE AWLとMALVEILLANCEくらいしかフォローしてませんので、Youth Attack Records周辺のタイプなどはあまり分かりませんが、このCDをリリースしたレーベルがSATAN'S SATYRSともパイプが繋がってるので、今回ちょっと入れてみました。通常のプラケースに収納されてますが表ジャケットは存在しないそうで、ジャケの類はトレイ下のバックカバーのみ。限定200枚リリースです。よく調べてみると、ここで収録されてる音源のアナログ盤はどっちも30枚以下の極悪限定マイクロ・リリースだったと言うから、かなりのクセモノと言うかバカ・バンドです!!
BONE AWL系のドシャドシャ・プリミティブなブラック・ノイズ・パンク・チューンもありますが、そこにシューゲイザー的オルタナ要素もふんだんにミックスしてます。しかしジャンク・ロック系のインテリジェントなムードは皆無で、むしろリスナーの神経を逆なでする、ハーシューゲイザー・ノイズ・ブラックコア・パンク!!
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