Metal Blackness!!

・FUIL NA SEANCHOILLE - Hunger LP 税込2,160円 (Me Saco Un Ojo)
MSUOがリリースするバンドで数少ないブラック・メタルの一つ、アイルランド・ダブリン出身ミュージシャン Cormac O'Siochain氏によるロンリー・ブラック・メタル・プロジェクトの2011年作品がヴィニール化再発。この人物はMSUOオーナーのメタルパンク業界人仲間で、デンマークのNUCLEAR DEATH TERROR (ギター), THE ASSASSINATORS (ベース), オーストラリアのKROMOSOM (ギター)といった日本でもおなじみの海外パンク・バンドでも在籍していて、一体どこに住んでるんだ?と不思議になるくらいワールドワイドに活躍されてきた方です。この作品はオリジナル・リリースはカナダのレーベルからのカセットテープで、このバンドは他の全作品含めて、CDでの発売は1枚もされていません。限定300枚でプレスで、グリーンビニールになります。
サウンドはアンダーグラウンド臭の強いユーロ・スタイルのブラック・メタルで、過度にメランコリックな旋律などはないけど、叙情性と冷たさは欧州の真性地下ブラック・メタルらしさが充満しています。クラスティーなハードコアをやってる人ならば、プリミティブなロウ・ノイジー・サウンドが飛び出しそうな気がしますが、それを封じてここまで本格的に仕上げるのは流石かと思います。前にMSUOが出してたコンピレーションLPはしばらく売れ残ってたけど、最後、海外からのオーダーがポンポン入って完売していったので、海外でもアングラ・ブラック・メタル・マニアには認知されているようです。

・PREDATORY LIGHT - S/T CD 税込1,836円 (Invictus prod.)
Profound LoreからアルバムをリリースしているVANUMというバンド・メンバー3人と、ANHEDONISTやVASSAFORに参加していたベーシストによるUSシアトル拠点4人組ブラック・メタル・バンドの、2016年にInvictus prod.から発表した1stアルバムです。ポートランドやシアトルからカナダにまで及ぶ、北米デス/ブラック・メタル・シーンの充実ぶりを堪能している方は必聴の力作です。
サウンドは明らかにNEGATIVE PLANEに触発されたスタイルで、やはりProfound Lore, Ajna Offensive, Parasitic Recordsなどのレーベルのバンドと大いに通じるところがあります。しかし、NEGATIVE PLANEのサイケデリック・ヴィンテージ・ムード満点の妖艶な旋律を導入したようなブラック・メタルではあるけど、NEGATIVE PLANEの場合は人脈的にも継承しているNOCTURNUS / AFTER DEATH系統のデス・メタルが近年のリチュアル・デス・メタル・ムーブメントとリンクして深化してようなタイプであるのに対して、このPREDATORY LIGHTは欧州/北欧ブラック・メタルを土台にしているような黄昏感が強いので、Sepulchral Voice Recordsのヨーロピアン・ブラック/デス・メタル好きにも強くオススメしたいです。ドカドカ速いパートがメインですが、NECROS CHRISTOSの叙情が好きな人でも案外ハマりそうな哀愁です。

・TRIUMVIR FOUL - Spiritual Bloodshed CD 税込1,836円 (Invictus prod.)
長らく繁栄が続く北米ブラック・デス・メタル・シーンの拠点の一つでもあるオレゴン州ポートランドのブラック/デス・メタル・ミュージシャン2名によるデュオ編成バンド TRIUMVIR FOULの2017年新作2ndアルバム。作品のクォリティーに於いては信頼のおけるアイルランドのアングラ・エクストリーム・メタル・レーベル Invictus Prod.からのリリースです。
オールドスクール・デス・メタルを基礎にしながら低さと黒さを強調したスタイルですが、INCANTATION系統のリチュアルさとは若干違って、音圧で骨格を隠すことなく、切れ味のあるドラミングと畳みかけるような疾走感が特徴です。何かのカバー?かと思ってしまうほど不気味なキャッチーさが耳にこびりつくタイトル・トラックなどは、個性を押し殺すのがある意味美学とされるこのテのバンドとしては珍しい手法で本作のクライマックス・パートとなっています。ANAELメンバーによるCHARONや、EXCORIATEメンバーによるVENENUMといった、Sepulchral Voiceのジャーマン・バンドが好きな人はぜひチェックをしてほしいカッコよさです!!それともう一つ重要な点で、この絶対に読めなくて渋いロゴは、SWALLOWED / Emptiness Prod.のSamu氏によるデザインなのですが、そう考えるとSWALLOWEDのアルバム(初期の極悪期ではない)にも近いものを感じます。

・WEREGOAT - Pestilential Rites Of Infernal Fornication CD 税込1,836円 (Vault Of Dried Bones)
CDも到着!!USオレゴン州ポートランドのブラック・デス・メタル WEREGOATの2017年1stフルレングス・アルバム。ちょっと時間が掛かってしまいましたがようやく入荷しました。CDはGENOCIDE SHRINESの1stアルバムなどもリリースしていたVault Of Dried Bonesから発売されています。
このバンドはメンバーがRITUAL NECROMANCY, KNELT ROTE, SEMPITERNAL DUSK, etc多くのバンドで活躍しているアンダーグラウンド・エクストリーム・メタル・ミュージシャンなので、実力に裏打ちされたプリミティブさが特徴でした。そして本作では一気にその本性をむき出しにしたような完成度に仕上げています。デビュー作 Unholy Exaltation of Fullmoon Perversity EPではバーバリックな爆裂感、そして前作Slave Bitch of the Black Ram Master EPはモッサリした感触が強烈でしたが、今回はそういった感触よりも今までも垣間見せていたエクストリーム・メタルの古典芸を強く印象付ける構成で、デスラッシュ土台の南米ベスチャル・ブラック/デス・メタル、例えばチリのオールドスクール・ブラック・デスラッシュ好きなどにはたまらないようなスタイルとなっています。ジャケから連想させる、ABHORERなんかのオールドスクール感にも近いところがあります。なんにせよ、ベスチャル・デス・メタル・ファン必聴death!!

・CRURIFRAGIUM - Beasts of the Temple of Satan LP 税込2,592円 / CD 税込1,728円 (Invictus prod.)
アナログ盤!!CDも再入荷しました。Invictus prod.からリリースされたUSシアトル出身ブラック・デス・メタル・バンドの2017年発表1stアルバムです。熱心なマニアの方から注目バンドと教えてもらってたWARPVOMITというバンドが居まして、そのバンドが発展して今やってるのが、このCRURIFRAGIUMになります。全員、元WARPVOMITです。北米ウォー・ブラック・メタル・ファンは、ぜひチェックしておいてください。
BEHERITがエレクトロニクスやミニマルな要素をブラック・メタルに持ち込み、非メタルのノイズ/アヴァンギャルド方面のリスナーも呼び込んだ結果、現在の欧米ブラック・メタルのファン層はそういったアヴァンギャルド・ミュージックの方が根っこにある人と、ヘヴィメタルの歴史をたどって究極の原始的サブ・ジャンルにまで行き着いた人とで形成されているのかと思います。ベルギーのPERVERTED CEREMONYが、無名の新人では異例の爆発的な反響を呼んでいる最大の要因は、その双方のタイプのブラック・メタル・ファンを惹きつけるキャッチーさにあると思うけど、このCRURIFAGIUMは現代の北米ベスチャル・デス・メタル代表格 WEREGOATにもじるスタイルを、REVENGEやCONQUERORも彷彿させるアグレッシブな演奏でタイト且つカオティックに表現しています。プリミティブなデス・メタルのルーツも感じさせて、PROCLAMATION, ARCHGOAT, BESTIAL WARLUSTなどのファンにも絶対オススメの注目株!!

・ULULATUM TOLLUNT - Quantum Noose of Usurpation CD 税込1,728円 (Invictus prod.)
アメリカ・テネシー州から登場した正体不明のブラック/デス・メタル・バンドの1stアルバムCDが、Invictus prod.からリリース。2016年のデビュー・デモが一部で反響を呼んでいたようで、Invictusがすかさず接触してこのデビュー・アルバム・リリースとなったようです。なんだかよくわかんないジャケからはリチュアル系デスの匂いがしますし、デス/ブラック・メタル・バンドによる「読めないフォント」の新しいスタイル(決してミス・プリントではありません)など、隅々まで聴き手を拒んで突き放すようなムードが漂ってますが、再生すると予想とは違うベスチャル・デス・メタル・サウンドがマシンガンのように放たれてノックアウトされます!!
イントロから全開の鈍い重さとカオティックなブラスト・パートのコンビネーションは、合衆国産ベスチャル・デス・メタルならではブルタリティーでカッコいいです。カナディアン・ウォー・ブラックから冷たさを除き、ブラスティング・カオスがちょっとDEIPHAGOなんかのタイプに近づけたようでもあります。でもこんカオティックなのにサウンドはしっかり分離されていて、ベスチャル・デスデス/ウォー・ブラック・ファンのみならず、ASCENDED DEADやKNELT ROTEなんかのファンにも絶対チェックしておいてほしい要注目バンドdeath!!

・DEIQUISITOR - Downfall of the Apostates LP 税込2,484円 (Night Shroud)
Me Saco Un Ojoから2017に7"EPを発表していたデンマークのデス・メタル・バンドの2018年発表新作2ndアルバムLPです。1st LP同様、アンダーグラウンドなプライベート・レーベルからのリリースですが、UK/ヨーロッパはMSUOが、USはDark Descentがディストリビューションを担当しています。ちなみに同じデンマーク・デス・メタルの後輩バンド UNDERGANGのDavid氏によるカセット・レーベル Extreme Rottenから先行プロモ・テープもリリースされていたようです。ポスター付き。
メンバーはLUCIATIONやBLODFESTなどのブラック・メタル方面のミュージシャンで、ドラマーはSADOMATORでもサポートしている人物。その辺の感触が絶妙に混ざり合ったような、INCANTATION影響下のデス・メタルにも通じるドス黒い重苦しさが以前は顕著でしたが、今回は一聴して感触が違いますし、進行していくうちに曲調にも変化があるのがわかります。MORBID ANGEL, IMMOLATION, DIOCLETIAN, VONをミックスしたような冷徹デス・メタルの土台は変わりないものの、感触も楽曲もよりオールドスクール・デス・メタル・テイストを増しています。それでもこのバンドの魅力である切れ味と鈍さが同居しているような感覚がまだ残っているのは、IMMOLATION型のソリッドなリフ構成の楽曲を、ブルデス寄りのダイナミズムではなく、ベスチャル・デス・メタル系にも通じるプリミティブな冷たさで叩き出しているからだと思います。ドローン・リチュアル要素皆無のブルータルでオールドスクールなデス・メタル・ファンはぜひチェックしてください!!

・SERPENT'S ATHIRST - Heralding Ceremonial Mass Obliteration ONE-SIDED LP 税込2,592円 (Invictus prod.)
2015年に発表した1stアルバムが、世界中のベスチャル・ブラック/リチュアル・デス・メタル・ファンから熱狂的に迎えられた、スリランカ出身ブラック・メタル・バンド GENOCIDE SHRINESのメンバーが在籍するSERPENT'S ATHIRSTの初単独作となる3曲入り片面12"EPです。世界的ヒットとなったGENOCIDE SHRINESの1stアルバムと同じ2015年発表作にも関わらず、当店も今頃気付いて入荷させている通りこちらはなぜかさほど話題になっていないようですが、GENOCIDE SHRINESに魅了されたファンは必聴間違いナシの強力作!!レッド・スプラッター・ビニールです。
GENOCIDE SHRINESではドラムを担当するVisharadha Kasun Nawarathna氏が、このバンドではギターを弾いていますが、パートは違っても曲調はGENOCIDE SHRINESにやはりよく似ていて、速いパートもそうでないパートも呪術的ムードが充満した、リチュアル・デスとベスチャル・ブラック・メタルの中間のようなあの独特の雰囲気で冷たく爆裂しています。東南アジア地域ではブラック・メタル・バンドの多くが北欧バンドに影響されながらも灼熱スタイルになっていたことを考えると、「冷たく」ってのが、少し西寄りのスリランカで生まれたGENOCIDE SHRINESとこのSERPENT'S ATHIRSTに共通するキーワードかも知れません。カナダのWEAPONが、辺境の地鋼鉄発掘レーベル Legion Of Deathから2005年にデビューした時、バンドを結成したVetis Monarch氏がバングラディシュ出身だったことから、WEAPON自体もバングラディシュ拠点のバンドのような情報が飛び交って当時かなり話題となりましたが、このSERPENT'S ATHIRSTにもWEAPONやRITES OF THY DEGRINGOLADEなどのカナディアン・バンドのような冷たさが見出せます。メンバーのルックスもカッコいい!!